はじめ
ニーハオ!中華系男子の いっ君 です。
一つの嘘が七つの嘘を生む。
神学者のマルティン・ルターさんはこのような名言を残したことがある。
人間は一度嘘をついたら、更なる嘘を言わなければならなくなる。では、嘘の果てには何があるだろうか。その先には本当の真実があるのか、あるいは、辛い事実しか待っていないかもしれない。本当の嘘は怖いのだ。
さて、早速、サスペンス映画『六人の嘘つきな大学生』について感想をお届けする。なお、本記事にはネタバレ要素があるので、ご注意を!
ストーリー
エンタテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用最終選考に残った6人の就活生は、1か月後のグループディスカッションに向けてチームを作る課題を与えられる。
しかし、急な課題変更で「勝ち残るのは1人だけ」と告げられ、6人はライバルに。さらに、6通の怪しい封筒が発見され、その中の1通には「●●●は人殺し」と書かれていた。
8年後、犯人の死を告発する手紙が届き、残された5人は真犯人を暴くため再び集結する。嘘と罪が暴かれる中、真実が明らかになる。
感想
原作を知らない僕だが、あくまでも映画に対するレビューの感想を語るに過ぎない。こちらだけは、どうかご容赦ください。
まず、映画の内容をもっとシンプルにネタバレしてみると、六人の大学生の最終面接では、過去が嘘つきだとバラした封筒のせいで、内定者の投票で負けられそうになった原因で、みんな知恵を絞って、仕掛ける犯人探しを始めたストーリー。
そして映画の最後ではその真犯人が明かされる。犯人の名前を言わないが、その犯人の犯行動機については、どうも納得いかない自分が居た。
元々、犯人の尊敬する先輩が「スピラリンクス」社の人事に落とされ、犯人はその結果を到底受け入れられなかった。それが発端で会社の人事への復讐をはかり始め、面接に出ている面接者のとんでもない過去を暴き出しに行った。そんな嘘つきな大学生らを選考通過させた人事担当者こそ、どうかしている!という証明を見せたい犯人。まさしく、人事担当者のメンツ潰しが犯人の本当の目的だった!?
うーん?そういう復讐の方向性って間違えたじゃないかな?
なんで面接者の過去を暴いただろう?そもそも復讐の相手は「スピラリンクス」という会社のいち人事の担当者なんだから、最初は、直接にその人事担当者の本人に対する復讐のほうがよほど手早いのでは?
一緒に面接に出いている一般人の大学生を相手にしては無理でもあると思った。この単なるストーカーとしての犯行に過ぎない一連事件は、復讐が果たせると考えた犯人って頭がそんなに賢くないなあと感じた。立派な大学出身なのに⋯
そして、映画原題は、「六人」の嘘つきな大学生という名前だが、実際劇中では、「五人」の嘘しか明かしていない。唯一の内定者だけ、封筒の中身がバラされないので、その大学生がどんな嘘つきなのか、どんな過去があったのか、劇中では最後までも知らせてくれなかった。お人好しというキャラ設定で、皆から内定に相応しい人物だからこそ、嘘つきの過去を捏ち上げたくなかったということだ。
結局、内定者以外の五人が全員、嘘つきというレッテルを貼られて傷だらけの罪人だが、内定者だけが無傷のままだった。運がたまたま良かったなのか、実際、内定者だって嘘つきかもしれないと僕が見立ている。
当然、ラストシーンでは、封筒の中身が実は嘘で、みんな嘘つきではないことが判明した。ストーカーの展開が急に逆転した結末で終わった⋯
犯人を明かしたと同時に、一緒に戦ってきた六人の大学生は良い人で、皆仲間に居るべきだったという証明を残したかったと思う。ただ、その結末には正直に納得しないまま、僕は早く映画館を去った。
おわり
犯人探しのテーマで、劇中の全員を疑って推理していくという内容が面白かったと思う。特に何回も逆転があって、最後まで真犯人は明かされ、ようやく真実が見えてくるという設定も悪くなかった。ただ、予告編で見た、人殺しの犯人探しではない内容に対しては、ちょっとガッカリした。
原作を忠実に再現したのか存じないが、一度原作を読んでみてこの作品をもう一度理解してみたいと思う。
作品情報
- 原題:六人の嘘つきな大学生
- 公開年:2024年11月
- 原作:浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』(角川文庫刊)
- 監督:佐藤祐市
- 脚本:矢島弘一
- 配給会社:東宝
- 興行収入:3.3億予想
キャスト情報
- 嶌衣織:浜辺美波
- 波多野祥吾:赤楚衛二
- 九賀蒼太:佐野勇斗
- 矢代つばさ:山下美月
- 森久保公彦:倉悠貴
- 袴田亮:西垣匠