
はじめ
ニーハオ!中華系男子の いっ君 です。
この記事では、2022年12月公開の映画『ラーゲリより愛を込めて』について感想を書いていく。Amazonプライムで鑑賞したが、今年観た映画の中で一番泣けて、一番良かった作品だと思った。内容にはネタバレを含むので了承してほしい。
ストーリー
第2次世界大戦が終結した1945年、シベリアの強制収容所に抑留された日本人捕虜たちは、極寒の地で零下40度にも及ぶ厳しい環境の中、わずかな食糧と重労働に耐えながら過酷な日々を送っていた。
命を落とす者が後を絶たない中、山本幡男は日本に残した妻や子どもたちのもとへ必ず帰るという強い信念を胸に、仲間たちを励まし続ける。彼の思いやりと揺るがない意志は、絶望の中にいる捕虜たちに希望を与え、生きる力を呼び覚ましていく。
感想
シベリア収容所の残酷さ
作品の背景には、日本が戦争でソ連に敗北した歴史がある。戦後、満州に取り残された日本人捕虜がシベリア収容所に強制抑留され、非人道的な扱いを受けた実話が基になっている。80年前の話ではあるが、映画を観ていると決して遠い過去ではないように感じた。
ソ連(現在のロシア)の捕虜への扱いは非人道的で、現代でも変わらない部分があるのではないかと考えると、悔しさや無念さを覚えた。
最低限の人権が守られない環境は、想像以上に過酷だ。きちんとした食事や休息、労働時間の配分さえない状況で、せめて野球を楽しむくらいの自由は与えられてもよかったのではないかと思った(その後、交渉で野球が許可される場面があるが)。また、紙やペンといった私物すら許されない規則も、彼らにとっては苦痛だっただろう。
この映画は、シベリア収容所の残酷さをリアルに伝えており、捕虜たちの苦しみが深く理解できた。
山本幡男という強い意志の男
「ダモイ(帰国)」を願いながらも、不当に抑留され続ける日々。仲間が次々と亡くなり、明日への希望も見えない現実の中では、生き続けることさえ困難だ。しかし、そんな絶望の中で唯一の希望となる存在がいた。それが主人公・山本幡男(演:二宮和也)だ。
彼は「妻と再会する」という約束を守るため、強い信念を持ち続けた。どんな過酷な環境でも諦めず、仲間たちに勇気を与え続ける姿は圧巻だった。山本がいたからこそ、捕虜たちも「いつか帰国できる」と信じ続けられたのだと思う。二宮和也の演技は素晴らしく、山本の言動には感動させられた。
アメリカ民謡「Oh My Darling Clementine」が心に響く
映画の中で印象的だったのが、山本がシベリア行きの列車で初めて歌った「Oh My Darling Clementine」だ。雪山讃歌のメロディーとしても知られるこの歌が、山本の口から流れると、一気に胸に沁みた。悲しみの中にも愛する人への想いが込められ、どこか希望を感じさせる歌だった。この歌が捕虜たちを結びつけ、彼らが団結して山本を守ろうとするきっかけになった場面は、涙なしでは観られなかった。
遺書を届けるシーンの感動
最も感動したのは、山本の遺書を届けに来た3人の捕虜仲間が代読する場面だ。それぞれが記憶した山本の遺書を必死に伝える姿は心を打たれた。山本の妻・モジミ(演:北川景子)の視点から見ると、遺書が届いたことで、山本が約束通りに「帰ってきた」と感じられただろう。
戦争前は直接会えた二人が、戦後では遺書を通じて再会する形になったのは切ない。それでも、残されたモジミが山本を信じて待ち続けた愛の深さには感動した。二人の絆は本当に素晴らしい。
おわり
この記事を書きながらも、映画の内容を思い出して泣きそうになる。『ラーゲリより愛を込めて』は、人を感動させる余命作品として非常に優れており、全ての人に観てほしい愛の物語だ。今年観た映画の中で、間違いなくベストだと評価する。
作品情報
- 原題:ラーゲリより愛を込めて
- 公開年:2022年12月
- 興行収入:約26億円
- 監督:瀬々敬久
- 原作:辺見じゅん
- 脚本:林民夫
- 企画プロデュース:平野隆
キャスト情報
- 山本幡男:二宮和也
- 山本モジミ:北川景子
- 松田研三:松坂桃李
- 新谷健雄:中島健人
- 相沢光男:桐谷健太
- 原幸彦:安田顕