いっ君のつぶ夜記

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実写化の常識を覆す!映画「【推しの子】-The Final Act-」の魅力と衝撃を語る感想レビュー

はじめ

ニーハオ!中華系男子の いっ君 です。

【推しの子】の漫画やアニメに続き、実写版ドラマと映画も公開された。2次元作品が実写化されると、たいてい爆死する運命にあるが、映画「【推しの子】-The Final Act-」は違った!この記事では映画【推しの子】の鑑賞レビューをお届けする。ネタバレを含むので注意してほしい。

ストーリー

youtu.be

産婦人科医のゴローは、かつて担当した患者の影響で、アイドルグループ「B小町」の絶対的センター・アイを“推し”として応援する日々を送っていた。

ところがある日、そのアイが突然、妊娠した状態でゴローの目の前に現れる。驚きながらも彼女を支えようとするゴローだが、運命の歯車は容赦なく回り始める。

ゴローはある事件に巻き込まれ、命を落とす――しかし、目を覚ますとアイの子どもとして転生していた。“アクア”という新たな名前とともに、ゴローは“推しの子”としてアイのそばで過ごす幸せな日々を手に入れる。

しかしその幸せは長くは続かなかった。アイが何者かに殺害され、彼女の命は無惨にも奪われてしまう。悲しみに暮れるアクアは、その事件の裏に隠された真相を追うことを決意する。

やがて浮かび上がるのは、アイドル業界の光と闇、そして母アイの“嘘”の真実。復讐に身を捧げるアクアの行く手には、どれほどの試練と衝撃の展開が待ち受けているのか――。

「アイドル」というきらびやかな舞台の裏に隠された人間ドラマと、愛と復讐が交錯する衝撃の物語がここに描かれる。

感想

アイの過去話から始まる意外な展開

物語はアイの過去話からスタートし、実に意味深だった。そもそも映画は、現在Amazonプライムで配信中のドラマ版の続きに当たる。ドラマ最終話では、アクアとルビーがアイの子どもであることを公表する場面で幕を閉じた。いよいよここから本当の父親であるカミキヒカルへの復讐劇が始まる……と思っていたが、意外にもアイの過去話から始まった。

「総集編の映画なのか?」と一瞬不安になったが、進行するにつれてその構成に納得した。これまでのドラマでは、アイや先生、サオリちゃんの過去など一部しか語られていなかった。あえて撮影されなかったのかと思っていたが、実は映画のために温存されていたと分かった。

ドラマでは描かれなかったシーンを映画館の大スクリーンで観られるのは贅沢だった。それぞれのシーンがつながり、まるで謎解きをしているかのような感覚で「なるほど!」と感心させられた。

前半と後半の巧妙な構成

映画の前半と後半は互いに呼応するように連動していた。前半ではアイの過去、いわゆる“嘘の真実”が語られる。アイが愛した人が誰なのか、アイドルとしての辛い歩みも明かされた。

後半は、アイの過去をモチーフにした映画「15年の嘘」の撮影が中心だ。本当の嘘や愛を劇中の映画で再現し、それがカミキヒカルへの復讐につながる展開は見事だった。途中で「どれが本当で、どれが嘘なのか?」と混乱するほど深く考えさせられる内容だった。

キャラクター再現度の高さに驚き

実写版で特に評価すべきはキャストの選定だ。実写映画が失敗する理由のひとつとして、キャスティングのミスマッチがよく挙げられるが、【推しの子】ではキャラクターに合った俳優陣が見事に役を演じていた。

たとえば、アイ役の齋藤飛鳥は元乃木坂メンバーで、本物のアイドルがアイドル役を演じるという完璧な配役だった。アクア役の櫻井海音も、父親がミスチル櫻井という背景を考えると、どこかアクアに通じるものを感じた。有馬かな役の原菜乃華も子役出身という経歴が役柄とリンクしており、それぞれの人生がキャラクターを体現しているようだった。制作陣の作品への愛が伝わってきたと思う。

結末に感じた物足りなさ

全体を通して唯一惜しいと感じたのは結末だ。復讐劇のクライマックスで、アクアのインタビュー相手が実の父であるカミキヒカルだと明かされる。映画制作の資金提供も彼によるものだった。

この展開には驚いたが、最後にルビーをさらったヒカルとアクアの対決が描かれたとき、アクアが川に転落しヒカルとともに命を落とすという結末は唐突だった。復讐が完結したと解釈してもよいが、もう少し結末らしい終わり方が欲しかった。

あの社会問題を思わせる描写

カミキヒカルの過去には、ジャニーズの性加害事件を連想させるような描写があった。芸能界の闇ともいえる部分に踏み込んでおり、少年に手を出す大人がいる現実を示唆しているようだった。この背景があるからこそ、ヒカルの歪んだ感情がアイに向けられていたのだろう。

おわり

映画「【推しの子】-The Final Act-」は、実写版映画としての完成度が高い作品ではないだろうか。

初動の興行収入は低調だったようだ。素晴らしいキャスト陣や原作への忠実さ、巧妙な構成編集を考えると、実写化作品としては十分に高い完成度だったと思う。原作ファンならぜひ観てほしい作品だ。

作品情報

  • 原題:【推しの子】 The Final Act
  • 公開年:2024年12月
  • 監督:スミス
  • 原作:赤坂アカ 横槍メンゴ
  • 脚本:北川亜矢子
  • 企画:井元隆佑

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キャスト情報

  • 星野アクア:櫻井海音
  • アイ:齋藤飛鳥
  • 星野ルビー:齊藤なぎさ
  • 有馬かな:原菜乃華
  • 黒川あかね:茅島みずき
  • MEMちょ:あの
  • 川村恵理子:濱田マリ
  • 斉藤ミヤコ:倉科カナ
  • 五反田泰志:金子ノブアキ
  • 鏑木勝也:要潤
  • 雨宮吾郎:成田凌
  • 斉藤壱護:吉田鋼太郎
  • カミキヒカル:二宮和也

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